東京|建築

Ginza Sony Park|旧ソニービルを継承するスケルトンの建築

芦原義信さんの設計したソニービルが2017年に解体された後、地域に解放されたイベントスペースとして長らく活用されてきたGinza Sony Park(銀座ソニーパーク)。少し前から仮囲いが建ち始め、2024年にはいよいよ新たな建物が竣工しました。

建物内にはギャラリースペースも入っていて、気軽に訪ねやすい建築。銀座とは思えない独特の外観に惹かれたこともあり、オープンの前後に開催されていた二つの展覧会を訪ねてきました。

旧ソニービルが解体された後にイベントスペースとして活用されていたときのソニーパーク。2018年のときに撮影した写真より

銀座ソニーパークの外観。コンクリート打放しの躯体の外側をグリッドフレームが覆っている。グリッドフレームには時期に応じて広告やアートワークが据え付けられている

1階広場出入口。左手に街路がみえることからわかるように1階には基本的に誰でも立ち入ることができ地下鉄への出入口も設けられている

1階広場には2階への大階段がダイナミックに設けられている。グランドオープン前にも展覧会が開催されていて吹抜周りには玉山拓郎さんの作品が展示されていた

1階広場を見下ろす。複雑な形状の荒々しい躯体を現した姿は銀座一等地に建つ商業ビルに対するアンチテーゼのようにも読める

左:地下に設置された玉山拓郎氏の作品。建物が完成したことのPRとして美術展が開催されることには新鮮さを感じた/右:地階で見ることができる青いタイルは芦原さんの設計した旧ソニービルの遺構。新しい建物は地下の既存躯体を多く残し活用しつつつくられている

グランドオープン前の展覧会では3階は展示室として活用されていた。各階のスペースを「PARK」と名付けている*1点には思想を感じられる

*1:公式HPより。地下3階から5階にかけてすべてのスペースが「PARK」とされている(URL:https://www.sonypark.com/visit/

グランドオープン前の4階「PARK」。ガラスの奥に自然光の差し込む階段が見える

グランドオープン後の3階。グランドオープンの後にはアーティストの音楽を主軸に据えたインスタレーションを体験できる展覧会が開催されていた。ソニーの機器が活用されることで機器の性能をPRする場としても機能

グランドオープン後の4階。訪れたときにはCreepy NutsやBABY MONSTER、牛尾憲祐による展覧会が開催されており写真は牛尾氏による展示エリア

ガラスの奥に空調ダクトがみえるように配置されている階も

建物最上階にあたる5階。銀座ソニーパーク自体は比較的シンプルながらも、銀座メゾンエルメスと東急プラザ銀座という華やかな建物に囲まれることで銀座らしい場になっていたのが印象的だった

新しく建てられた銀座ソニーパークはグランドオープンの前後で二度訪ねましたが、グランドオープン前にみていた未完成と思われた姿が、ほぼそのまま完成形であったことには驚かされました。荒々しいコンクリートの躯体だけでなく、鋼製床下地を始めとして本来他の仕上げで隠してしまう部位も露出。華やかな仕上げで覆われた銀座の商業ビルとは対照的で、銀座一等地であるこの土地に建つ建物としては新鮮に感じます。

グランドオープン後の展覧会もアーティストの音楽に応じたものになっており、手の込んだ設え。2025年6月時点で開催されている展覧会はグランドオープン後始めの展覧会なので、今後の展覧会で設えにどの程度変化が加えられるのか楽しみです。

Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)
[竣工]2024年
[設計]Ginza Sony Park Project(荒木信雄/アーキタイプ、石本建築事務所、竹中工務店一級建築士事務所)
[用途]展示場、飲食店舗、物販店舗
[住所]東京都中央区銀座5-3-1
[HP]https://www.sonypark.com/