千葉|建築

ホキ美術館|浮遊するスチールチューブの美術館

ふわりと宙に浮かんだようなチューブが印象的な、ホキ美術館。写実絵画に特化した美術館という、日本国内では他にあまり見たことがない専門性をもつ施設です。

千葉駅から電車で約20分の位置にある土気駅から、さらに歩いて20分ほどの土地に建つこの美術館。2010年に竣工したときから気になっていたこともあり、実物のスケール感を体験しに訪ねてきました。

遠方からのホキ美術館外観。公共交通機関で訪問する場合、土気駅からあすみが丘東線のバスに乗車、あすみが丘東四丁目で降りる経路が最短と思われる

エントランスまでのアプローチ。北側(写真左)に住宅地、南側(写真右)に昭和の森が広がっている

エントランスまでのアプローチ。無数に並ぶ丸鋼は屋根への侵入対策だろうか。アートワークのようにも見えこの建物が美術館であることが一見してわかる

ホキ美術館のエントランス。堂々として設けるのではなく、アプローチの先にひっそりと設けられた姿からは今の時代の美術館らしさを感じた

昭和の森案内図はホキ美術館のすぐそばにも立てられている。下方にはホキ美術館の名前も

東からの外観。建物全体としてはチューブ状につくられたギャラリーが積み重なったような構成。大部分はコンクリートのチューブだが最も目を惹くキャンティレバー(片持ち)のチューブのみ鉄骨造でつくられているよう

東からの外観。左手に見えるのが昭和の森。広大な緑が広がっていて館内からもところどころから緑がのぞく

南からの外観。キャンティレバー(片持ち)形式のギャラリーは最大30mほど持ち出しているらしく、他の建築にはない迫力と緊張感がある

鉄骨造によるスチールチューブ部分は特殊塗装(MIO塗装:鱗片状酸化鉄塗装)で仕上げられている。ロの字のフレームにスリットを設けつつ、端部も薄く仕上げられていることで、軽やかかつより緊張感のある印象が生まれている

昭和の森側からの外観。植栽はどこからがホキ美術館の工事で植えられた植栽なのか見分けがつかないほど昭和の森と調和して感じられた

メインアプローチにあたる西からの外観。チューブが折り重なる様子が見て取れる。住宅地側のせいか東側と比べると迫力や緊張感は抑えられている印象を受けた

ホキ美術館の設計を手がけたのは、日本最大の設計事務所である日建設計。なかでもこのプロジェクトの統括をされていた山梨知彦さんは、過去に日本建築学会賞を二度受賞されるなど、日建設計を代表する設計者のお一人です。

山梨さんはBIMに関する書籍も書かれていますが、このホキ美術館もBIMを活用して設計が進められたよう。建築そのものに加え、BIMによって設計された建築の最初期の例という点も、この建築の魅力のひとつと言えるかもしれません。

ホキ美術館
[所在地]千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15
[用途]美術館
[設計]日建設計
[施工]大林組(建築)
[竣工]2010年
[HP]https://www.hoki-museum.jp/

[参考書籍等]
・『新建築2010年12月号』新建築社、2010
・『ディテール No.207 2016年冬季号』彰国社、2016