軽井沢駅の北口から、本通りを歩いて10分ほどの土地に建つ《軽井沢ニューアートミュージアム》。工学院大学で教鞭もとられている建築家、西森陸雄さんの設計による美術館*1で、その名の通り現代アートを中心とする展覧会が数多く開催されています。

軽井沢に位置する美術館では冬季に長期休館期間を設けているところ多くありますが、この《軽井沢ニューアートミュージアム》にはそれがなく、比較的訪れやすいのがありがたいポイント。建築家・隈研吾さんの展覧会が開催されていたこともあり、足を運んできました。

*1:当初は美術館ではなく、別用途として設計、竣工したもののようです。詳細は後述。

軽井沢ニューアートミュージアムの外観。南側(写真右側)のガラス面に配された館名サインがロードサイドの商業施設を思わせる

軽井沢ニューアートミュージアムを正面から見る。ファサードを印象付けているたくさんの鉄骨柱は軽井沢のカラ松林をモチーフにしているそう(西森事務所HPより。URL:https://www.nishimori-aa.jp/works/a177/)。演出のために1度または3度傾けた柱をあえて混ぜているとのこと

左:正面に設けられたベンチにもアートワークが展示されている/右:美術館にはレストランが併設されており、ミュージアム・カフェを兼ねている。館内からも行き来可能

左:館内マップ。長方形平面に対し、建物奥へと抜ける通路を横断させることで平面が構成されている。この通路は空間的にもこの美術館を特徴づける重要な要素のひとつとなっている/右:美術館の受付はエントランス脇にひっそりと設けられている。カウンターも高いのは受付の職員が目立ちすぎないようにする配慮だろうか

美術館のエントランスから建物奥の庭へと抜ける通路。二層吹抜かつ上部のトップライトから自然光が降り注ぎ、幅は小さいながらも広々とした空間となっている

左:1階から2階への大階段。訪れたときは、1階が主に様々なアーティストの作品を展示するギャラリーとして、2階が隈研吾さんの企画展を展示する美術館として活用されていた/右:通路上部のトップライト

左:階段の脇に設けられているエレベーター。無骨な装置がそのまま現しになっているが、それがかえって空間のアクセントとして効いている/右:美術館を訪れた人を出迎えてくれる巨大な犬の彫刻はロナルド・ヴェンチューラによる《ボブロ》(2018年)

2階から1階を見下ろす。展覧会のバナーが2層吹抜をうまく活用して設置されている

展示室内観。通路から連続する帯状の天井が空間を特徴づけている。展示されているのは隈研吾さんの作品の数々

訪れたときに開催されていた隈研吾さんの展覧会より。ひとつひとつの企画展の会期が比較的長く設定されており、1年間で概ねふたつの企画展が開催されているよう

展示室内観。トップライトから自然光が差し込む展示室も設けられている。ひとつの展示室のなかでここまで明暗の対比が生まれるものは他ではあまり見たことがない

左:ミュージアムショップ内観。1階の一角に広々と設けられており、展覧会料金を支払わずとも単独で利用することが可能/右:ミュージアムカフェ内観。屋外から直接出入りできる入り口が設けられている他、ミュージアムショップにある入り口によって館内からも行き来することができる

通路を抜けた先に設けられている奥庭。2015年には隈研吾さん設計の《風通る白樺と苔の森(チャペル)》が建てられ、空間の象徴性が増している。奥庭は見学できる時間帯が限られており、1日3回5~15分程度の枠が設けられている

設計を手がけた西森事務所のHPによれば、この建築は当初は美術館ではなく、集合商業施設として計画され、竣工していたようです*2。それぞれの記録を見比べると2007年の竣工から開館まで5年ほどの時間が経過していますが、その間に用途変更に合わせるための内装工事などが行われていたのかもしれません。

*2:西森事務所のHPより(URL:https://www.nishimori-aa.jp/works/a177/

HPの写真と見比べてみると、訪れたときの姿は壁が多く、設計時に想定されていた開放感はやや薄れている印象。ただ、姿形が全く変わってしまったわけではないので、展覧会によっては西森さんの意図した姿をまた目にできることもあるかもしれません。

美術館の奥庭への軸線は、計画時から変わらず維持されていることも見てとれ、こうした空間の肝となる骨格を設けることの重要性を改めて考えさせられた体験でした。

軽井沢ニューアートミュージアム
[竣工]2007年
[開館]2012年
[用途]美術館
[設計]西森陸雄(西森事務所)
[所在地]長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢1151-5
[HP]https://knam.jp