六本木に建つ国立新美術館を始めとして、数多くの美術館や博物館の設計を手がけた建築家・黒川紀章さん。埼玉県浦和市の北浦和公園内に建つ埼玉県立近代美術館も、彼の代表作のひとつとして知られています。
JR北浦和駅から徒歩10分以内の土地に建っていて、東京駅からでも1時間かからない距離にある美術館。気になる展覧会が開催されていたこともあり、久々に足を運んできました。

*1:『新建築 1983年1月号』(株式会社新建築社発行,1983)より。






*2:埼玉県立近代美術館のHPより。収蔵品紹介のページからは展示されている美術作品の概要を知ることができる。(URL:https://pref.spec.ed.jp/momas/%E5%8F%8E%E8%94%B5%E5%93%81%E7%B4%B9%E4%BB%8B)







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先述した国立新美術館の他にも、名古屋市美術館や広島市現代美術館など、数多くの美術館を設計している黒川さん。一方、埼玉県立近代美術館が1982年に竣工した当時はまださほど美術館を手がけておらず、黒川さんにとって初期の美術館のひとつにあたります。
メタボリズム・グループ*3の代表的な建築家として知られる黒川さんですが、メタボリズム建築の代表である中銀カプセルタワービルは1972年の竣工で、この美術館より10年前。この美術館からはメタボリズムの要素はあまり感じられず、どちらかというと6年後に竣工する名古屋市美術館に類似した部分が多々みられることからも、移行期の作品といえるのかもしれません。
美術の所蔵作品が充実していることはもちろん、館内のあちこちには名作とされるデザイナーズチェアが置かれていて、建築分野の観点から興味を惹かれる部分が多数あり。建築をテーマにした展覧会もたびたび開催されているので、また近いうちに訪れたいと思います。
*3:黒川紀章氏や菊竹清訓氏をはじめとする日本の建築家・都市計画家により結成されたグループで、主に1960年代から1970年代初頭に活動した。新陳代謝を意味する「メタボリズム」という言葉に表れているように、可変性や増築性に対応した建築・都市を構想した。黒川氏の設計による《中銀カプセルタワービル》(1972年竣工)はメタボリズムを体現した代表的な建築のひとつ
埼玉県立近代美術館
[所在地]埼玉県浦和市常盤9-30-1
[用途]美術館
[設計]黒川紀章建築都市設計事務所(建築)
[施工]戸田・和光建設特別共同企業体(建築)
[竣工]1982年
[HP]https://pref.spec.ed.jp/momas/
[参考書籍等]
・『新建築1983年1月号』新建築社、1983