「日本三大蔵の街」のひとつに数えられ、蔵の並んだ街並みが国の「重要伝統的建築物群保存地区」にも選ばれている川越市*1。現代日本を代表する建築家の一人、伊東豊雄さんが設計を手がけたヤオコー川越美術館は、そこから北東に10分ほど歩いた位置に建っています。
伊東豊雄さんの作品は全国に数多くあるものの、首都圏に建てられた建築で、内部を体験できるものは意外と多くない印象。都内から1時間半程度で行き来できることもあり、現地を訪れてきました。
*1:文化遺産オンラインWEBサイトより。(URL:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/197010)










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ヤオコー川越美術館はその名の通り、埼玉県を中心に展開するスーパーマーケットであるヤオコーにより設立された美術館。展示作家である三栖右嗣さんも、その創業者である故川野トモ氏と知人関係にあった美術家のようです。*2
*2:ヤオコー川越美術館HPより。(URL:https://www.yaoko-net.com/museum/about/index.html)
美術館の設計を伊東豊雄さんに依頼することになった経緯は定かではありませんが、伊東さんはこの後、ヤオコー本社ビルの設計も手がけており、施主が伊東さんに厚い信頼を寄せていたことがうかがえます。実際、この美術館で見られる直方体の中に有機的な造形を内包する構成は、伊東さんの他の作品にも用いられている特徴的な手法です。
「みんなの森 ぎふメディアコスモス」や「せんだいメディアテーク」など、伊東豊雄さんが手がけた近作は大規模な建築が多い印象。その中でこの美術館は、地上1階建、500㎡未満というコンパクトさでありながら、伊東さんらしい空間が凝縮されているように感じました。
ヤオコー川越美術館・三栖右嗣記念館
[所在地]埼玉県川越市氷川町109-1
[用途]美術館
[設計]伊東豊雄建築設計事務所(建築)
[施工]大成建設(建築)
[竣工]2011年
[HP]https://www.yaoko-net.com/museum/
[参考書籍等]
・『新建築2012年5月号』新建築社、2012