東京|建築

サントリー美術館|「和」と現代が調和した東京ミッドタウンの美術館

東京ミッドタウンの一角、ブランドショップと並んで位置するサントリー美術館。東京ミッドタウン内の一施設としてつくられた、主に日本の古美術を収蔵する美術館です。

同じ六本木には多くの美術館があることも手伝って、これまであまり訪ねてこなかったこの建築。気になる作家の展覧会が開催されると知って足を運んできました。

左:サントリー美術館への出入口。インテリアやデザイン系のショップが並ぶ3階の北西角に位置していて立ち寄りやすい/右:日本の古美術を取り扱った展覧会が大半だがこのときはフランスの工芸家エミール・ガレの展覧会が開催されていた

サントリー美術館出入口に位置するカウンター。右奥にみえるミュージアムショップはガレリアから見える位置にある

4階EVホール。EVで4階に上り、4階展示室をみた後に3階展示室へと下りる展示動線で計画されていた。和紙と照明によりぼんやりと光る壁が和を意識させる

4階展示室。全体を通して照度が低く抑えられ落着きのある空間に。展示室内外共に天井は木ルーバーで覆われている

天井から吊るされた紐によるパーティションはこの美術館独自の設え

紐のパーティションのディテール。和を意識させる他の設えとも不思議と調和して感じられる

左:4階と3階をつなぐ二層吹抜/右:3階の展示室は天井高が抑えられ4階展示室とスケール感に変化がつけられている

左:吹抜下の展示室。右手の壁は設えを操作することで自然光を取り込むことも可能であるらしい/右:この展示室の壁も和紙で覆われている

*1:サントリー美術館のHPでは自然光を取り入れたときの姿を見ることができる(URL:https://www.suntory.co.jp/sma/

二層吹抜に設けられた階段。階段下がちょっとした休憩スペースになっている

今回訪ねた展覧会では最後の展示室のみ黒色のパーティションが用いられており空間の質に変化がつけられていた

左:ショップの壁には真鍮のような金属で編まれた材料が使われており高級感が演出されている/右:エミール・ガレによるランプ「ひとよ茸」。サントリー美術館の所蔵品のひとつ

和紙をはじめとする「和」の要素が多用される中で、紐によるパーティションなどの現代的な設えが新鮮に映るこの美術館。互いがぶつかり合うことなく、不思議と調和して感じられたのが印象的でした。

隈研吾さん設計の美術館は他にも数多く存在するものの、ショッピングモールとこれほど一体的につくられた例はおそらくここが初めて。美術館の役割を考える上でも、とても示唆に富む建築であるように思いました。

サントリー美術館
[竣工]2007年
[設計]隈研吾建築都市設計事務所(建築)
[用途]美術館
[住所]東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
[HP]https://www.suntory.co.jp/sma/